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keio sfc ao exam / 慶應SFC AO入試 合格体験記

慶応SFC AO入試 体験記 
 
受験した年:2005年 
受験した学部:総合政策学部 
結果:合格 
方式:A方式 
出身高校:愛知県名古屋市 私立東海高校 
 
この文章はSFC AO入試を受験する高校生を対象として書かれた体験談です。 
受験生の準備の参考になれば幸いです。 
 
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##  1次選考(=書類選考) 
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[志望理由書・学習計画書(エッセイ)の内容] 
 
私が小学生の頃に、インターネット技術が商業化され普及し始めました。私が中学生になる時には、音樂MP3ファイルがP2Pでシェアされ放題という現象が社会問題となりました。 
従来は、聴きたい音樂は家から15分以上離れた駅前のCD屋さんまで出かけて購入しないと手に入らなかったのに、なんと誰でも家のパソコンで無料で入手できる時代になった。とても衝撃的なことです。 
 
しかし、このような環境では、新たな収益モデルを確立しないとミュージシャンは儲からなくなってしまいます。そもそも技術的に、また法的に、インターネットはどう監督されていくべきなのか。インターネットと社会のあり方とは。漠然と興味がありました。例えば著作権物のダウンロードを違法化しても、海外のユーザーがダウンロードしたら国内法では取り締まれません。また、例えば流行の音楽MP3ファイルを100万人が違法ダウンロードしたら全員追跡して処罰することは現実的に可能なのでしょうか。等々。 
SFCならインターネットを技術・法律・経済・社会その他の、多角的な側面から勉強できる、ので志望するということを書きました。 
 
17,18歳の長文(2000字)の作文能力には限界があるので、提出する前に、親や学校・塾の先生に見せてフィードバックをもらいましょう。 
当時はAO入試の指導する学習指導塾というと「早稲田塾」(それにしてもironicな名前です)しかありませんでしたが、最近は似たような塾業者が増えているようですね。 
 
 
[A方式、B方式、C方式] 
 
当時のAO入試はA方式(誰でも受験できる)と、B方式(高校で評点4.5以上の成績を納めた人が受けられる)に分別されていて、私はA方式で受験しました。C方式が追加されたのはその数年後です。 
 
評点が4.5に達していない立場の私が指摘するのは恐縮ですが、B方式とは微妙な性質の方式です。なぜなら高校によって学力水準が全然違って、高い成績・評点の取りやすさに雲泥の差があるからです。 
入学してからクラスメイトで「AO入試でB方式で入ったよ」という人で学力的に素晴らしい人もいれば、たいしたことない人も見かけました。そもそもSFCがB方式で取ろうとしている学生はAOでなくて一般の筆記試験で取ればよいのではないでしょうか。と雑感。 
 
 
[特筆すべき強み・自己アピールポイント] 
 
私には特筆すべき表彰はありませんでした。唯一、客観的にアピールしうる達成は、高校で交換留学をして、英語の勉強をして、英検1級、TOEIC 950点、TOEFL(点数忘れた。たしか満点の90%くらい)を取りました。また、中学生の時に陸上部で県大会の予選レベルの試合ですが、いくつかささやかな記録や表彰がありました。 
 
あと、親が慶応OBでした。推薦状を書いてくれた高校の先生も慶応OBでした。(おそらく合否に有意な影響はないはずですが。。) 
 
入学してから、AO同級生たちを知ると、スポーツで全国X位とか、数学オリンピックとか、素晴らしい達成をしてきた人たちもいましたが、私のような割と平凡な人もいました。なので、AO興味のある学生はビビらずに是非挑戦してほしいです。 
 
 
[自由記述欄の内容] 
 
A4で2ページの白紙に、自分を自由に表現・アピールせよ、という。SFCのAO入試の名物といえる、自由記述欄です。 
人によっては手型や足型を印刷した例もあるとか、噂で聞きました。志望理由書は文字しか書けませんが、自由記述欄はせっかく白紙なので、ポスターのような写真やグラフや図を用いる人も多いようです。 
 
私は、志望理由に合わせて、村井純教授の書いたインターネットの本を読んで感想文を書きました。また、当時SFCで英語教育で著名だった鈴木祐治教授の本を読んで、日本の英語教育が改善されるためには何が必要か、ということを感想文として書きました。The読書感想文。 
 
それらの本の中で「私が教員を務める慶應SFCでは、〜〜のような取り組みをしている」という言及が幾度もあって、そういう部分に感銘を受けた・授業を受けたいと思った、というようなことも書きました。これはさりげなく「しっかりSFCのこと勉強してきています」アピールとして良い例ではないでしょうか。 
 
 
[志願者評価書(いわゆる推薦状)] 
 
2通。高校の先生にお願いしました。どちらも推薦状を頼む前から進路相談をしていて、私のことをよく知っていて気にかけてくださっていた先生だったので、パワフルな推薦状を書いてくれました。 
 
 
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##  2次選考(=面接試験) 
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[当日までの流れ] 
 
SFCのキャンパスにて面接があります。地方からの受験生は、この時に初めてキャンパスを訪れた、という人が多いのでは。私もその1人でした。 
週末(土日)に面接日が指定されるので、当日はキャンパスは静かで学生は殆ど見かけませんでした。 
 
地元から新幹線で上京し、前日に藤沢のホテルに泊まりました。1人で面接のリハーサルしたり、とにかく緊張。人生で最も緊張した夜です。 
 
面接当日はα(アルファ)館の大きな待合室で、他の受験生と待機します。皆、自分の資料を復習したり、落ち着いて瞑想して精神統一、という様子でした。 
大学の職員が部屋に監督待機していて、自分の番になる受験生を、同じ建物内の面接室に誘導してくれます。 
余談ですが、この待機室にいる間も、監視されているから、はしゃいで周りの受験生とおしゃべりしたり騒いでいると減点される、と噂で聞いたことがあります。 
 
いくつもの部屋で同時進行で面接が進んでいます。どの部屋・面接官になるかは、各受験生のおおよその志望内容や学部によって決められているらしく、もしかしたら波長が合う・合わない面接官に当たるかもしれません。最善を尽くしましょう。 
 
 
[いざ面接] 
 
面接の最初に、志望理由書に書いたことを簡潔にプレゼンしました。とても緊張しました。 
私の記憶する限り、面接全体は1時間くらい。面接官3人。尋常ならざる圧迫面接でした。「そんな研究テーマに価値はない!」「そのアイデアは現実的には無理!!」といった具合に、とにかく厳しく突っ込まれます。これはおそらく本気度や根性を試しているのでしょうが、それにしても胃に穴が空きそうでした。 
 
今でも記憶に残っているのは、「では、今の意見を、英語で説明しろ」と言われて、英語での受け答えは、英検1級の面接の訓練を通して自信を持っていたので、颯爽と回答できて、印象良かったです。 
 
また、「君の壮大な志望理由や学習計画は分かったから、じゃぁ明日入学したとして、1日目は何を勉強するのか、具体的に言え」と聞かれました。おぉ、これは鋭い良い質問だ、と思いました。何ヶ月も志望理由や大学での学習計画をAO入試の準備を通して考えてきて、ではまず最初の一歩として何を具体的にやるのか答えられるのは大切です。私は「インターネットの技術面の理解を深めるために、コンピュータの勉強が必要である。そのためにUNIXの勉強なしには始まらない。UNIX環境の基礎として、〜〜や〜〜というプログラムの勉強から始める」と答えました。この「〜〜」の部分の粒度でビシッ! と答えられるのって、切れ味があるので、説得力が増すと思います。 
 
このタイプの質問の準備は簡単で、もし面接で「〜〜の問題意識に基づき、SFCではXYZの勉強をします」と主張するなら、XYZの分野の教科書を読み始めて、その内容を目次レベルでもいいので頭に入れておけば良いです。あるいは、既に特定の先生の研究室を考えているなら、その先生の授業のWebページや、研究室のWebページをよく読んでおけば「最初の1歩は〜〜の勉強から始める」と回答できるはずです。 
 
 
[面接での服装] 
 
待合室で見た限り、半数は学生服でした。残りは(私も含めて)学生服に準ずるブレザー上着の服を着ていました。 
茶髪でカジュアルな格好でも合格した人がいる、という話を聞いたことがありますが、よほど戦略的な意図がない限り、学校の制服(またはそれに準ずる服装)が無難だと思います。 
 
 
[AO面接の印象] 
 
AO入試の面接には、多くの教授・教員が参加します。 
入学して数年後に、ゼミの先生が「いやぁ、先週末はAO入試の面接官をした。とある受験生の高校生の女の子が、書類ではABCって言っていたのに、プレゼンじゃXYZというブレた主張で、論理が曲がってるんじゃないの?本気で勉強したいの?、みたいに厳しく突っ込んだら、その子が泣いちゃった。まぁよくあることだが。」と言っているのを聴きました。 
へぇ、やっぱり圧迫面接ってこんな感じなんだぁ、と思いました。(もちろん、終始おだやかな面接もたくさんあるそうです) 
また、面接官の中で「この子は合格、いやいや不合格だ」みたいに意見が対立して激論になることもあるそうです。 
 
 
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##  将来の受験生へのアドバイス・メッセージ 
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[SFCの良い点・悪い点] 
 
SFCは様々な分野の勉強をできるので、大学でやりたいことが明確に決まっていない高校生にとって魅力的です。しかし、この環境には弊害もあって、入学してから強い目的意識を見つけて勉強しないと、あっという間に、なんの専門性もつかないまま卒業してしまう人もたくさんいます。 
 
また、「学位の名前」と「実際に勉強したこと」が一致しなくて、就職活動に影響が出ることがあります。 
例えば、総合政策学部なのに「UHF周波数帯の無線チップの、移動時の受信電界強度の変化の特性のシミュレーション及び実験」みたいな理系の研究・卒論に取り組む学生もいれば、環境情報学部なのに「17世紀のドナウ川周辺の農村で興った人形劇の文化の考察」みたいな文系よりの勉強・卒論執筆する人もいます。しかし、履歴書では、慶應義塾大学〜〜学部、とだけ記載されるので、就活で説明がややこしくなります。 
 
 
[SFC辞める人] 
 
例えば、「入学して1、2年経って、〜〜の分野に興味があることが分かった。その分野に関してSFCよりも豊富な授業が用意されていて実験設備もある別の学部・大学に行くことにした」みたいに辞めてしまう学生がたまにいます。私はこういうのは至極健全なことだと思います。 
長い人生というスパンで見た時に、このようにして1,2年使うのは全然悪いことではありません。 
 
 
[AO入試に不合格して再受験で合格できるか] 
 
AO入試を1期で受けて不合格して2期で再挑戦したい、という高校生の相談をたまに受けます。(私の個人的意見では)合格可能性は低いと思います。AO入試を複数回受ける人は大抵1回目と同じ結果になります。そもそも短期間に何か劇的な新たな達成や向上をすることは難しいでしょう。むしろ、一般入試の英語・数学・小論文の勉強をしたほうが効果的だと思います。 
例外的に、1期目で全くの準備不足で失敗したが、2期目では充分に準備して新たに強固なアピールポイントを構築して合格した、という人をみたことがあります。 
 
 
[通常の筆記の入学試験の準備対策もするべき] 
 
AO入試は定員が少なく、生身の人間が判断するので、面接官との相性が悪かったり、同じ時期に優秀なライバルが多かったり、どうしても落ちてしまうこともあります。 
対象的に、通常の筆記試験型の入試は定員が多く、英語and/or数学、と小論文だけなので、ぜひ準備すべきです。私も大いに筆記試験の勉強していました。 
入学したら、どの試験方式(筆記試験かAO入試か)で入学したかは全く関係ないです。とても優秀な人で、「AO入試落ちたけど筆記試験で合格したよ」という人を何人も見てきました。 
 
 
[別にSFCでなくても大丈夫] 
 
例えば、慶応で、SFCが無かったらどの学部に入りたいですか。また、もし慶応が無かったら、どの大学に行きたいですか。私が受験した2005年以降、多くの他大学がSFC的な理念の学部を立ち上げています。 
ややSFC自体の議論と話がずれますが、そもそも大学選びに関して、大学卒業後の進路の方針を持って検討すべきです。多くの人は就職してサラリーマンになります。就職活動での戦闘力を考えた時に、私がオススメするのは、6大学(東大・京大・東工大・一橋・慶応・早稲田)です。人気企業で採用人数が少ない会社(例えば、外資系コンサル等)では基本的にこの6大学でまずフィルターする、という会社もあります。 
 
 
[海外の大学院に進学] 
 
私個人が大いに推奨する進路として、日本の大学で学部に通った学生は、海外の大学院に行くべきです。すると就職や進路の可能性が大きく広がります。もし日本で育って日本の大学に行くと、現実的に就活市場は日本国内だけになります。しかし、もし例えばアメリカの大学院に2年通って修士号を取れば、アメリカでも日本でも就活することができます。また、そもそも根本的に20代前半のうちに海外に1年以上暮らす経験をしておくのは視野を拡げるためにとても大切です。この「海外経験」は、日本の学部に在学中に1年間の交換留学することでも達成できます。また、社会人になって数年経てから海外留学するのも良いでしょう。 
私が個人的に学部から直接海外の大学院進学を推奨する理由は、1度社会人になってしまうと、なかなか「よし、仕事辞めて(または休んで)留学するぜ」というタイミングが見つからないからです。最初の数年は社会人生活に慣れるので精一杯で、しかも結婚や子供を持つといよいよ留学のタイミングが訪れません。(それでもする人もいますが) 
 
 
[卒業してからも勉強は続く] 
 
たまに「学生の時もっと勉強しておけばよかった」という趣旨の発言をする社会人がいます。あとから「もっと〜〜しておけばよかった」というのは人生でよくあることです。私もそう思いました。 
社会人になってからでも、平日の夜や週末に、勉強時間は作れるはずです。仕事辞めて大学院に行く人もいますし、最近は社会人学生という選択肢もあります。卒業してからも向上心を持ち続け、勉強を続けてほしいです。 
 
 
[メタ思考能力] 
 
最後に、受験生へ(というか高校生の時の自分へ)のメッセージ。 
 
SFCに限らず、大学での学業成績は優秀でも、卒業して就職して全く活躍・出世しない人もいますし、その逆で学業成績は振るわなくても社会に出てから大いに活躍する人もいます。 
これはどういうことでしょうか。 
 
学校の世界(小中校から大学学部まで)では、明確に定義されて答えが用意されている課題、を解く能力だけで活躍できます。 
しかし、社会では「そもそも何をやるべきか。そのためには何をどう勉強すべきか」という、よりメタなゲームでの思考能力が必要です。 
 
SFC出身で成功されたジャーナリストに渡邉正裕さんという方がいます。 
渡邊さんは、若者へのキャリア選択のアドバイスとして、以下のように述べています。 
 
学生の時点で、自分が本当にやりたい仕事や、自分が本当に向いている仕事、というのを客観的に把握できる人は少ない。 
だから35歳までに、自分の「情熱・興味」をもてる分野と、自分が「才能・適性」がある分野、を見つけよう。 
そして、その2分野が交差するところで仕事を見つけて、勝負すべきだ。 
 

  1. 2018-10-13 22:22:35 |
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